DTSの気候変動への取り組み
気候変動への対応は、世界的に取り組みが必要な重要課題の一つであり、このまま地球温暖化が進めば、人々の生活、経済活動など様々な領域に大きな影響をもたらす可能性があります。
DTSグループでは、パリ協定の枠組みに沿って温室効果ガス排出量の削減目標を掲げ、脱炭素経営を推進するとともに、TCFD、SBTを始めとする国際的イニシアチブへの対応を通じて持続可能な社会の実現を目指します。
TCFD提言に沿った情報開示
DTSグループでは、気候変動問題への対応を重要な経営課題の一つと位置づけ、さまざまな取り組みを行っています。2022年に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に賛同し、以後同提言に基づいて、気候変動に関連する事業リスクやビジネス機会について情報開示に努めています。
ガバナンス
気候変動におけるリスクと機会に関する目標・計画に対して、当社の取締役会は監督機関として機能しており、環境負荷低減目標に対しては、四半期ごとのモニタリングを行っています。
また、代表取締役社長を委員長とし、取締役および執行役員を中心に構成されるサステナビリティ委員会において、定期的にリスク評価と問題点の把握を行うとともに、カーボンニュートラルの実現へのロードマップや脱炭素経営の推進計画など、気候変動に関する主要な戦略について検討され、その進捗状況については、適宜取締役会に報告しています。
戦略
気候関連のリスクと機会が当社グループの事業、戦略、財務計画に及ぼす実際および潜在的な影響について分析し、財務影響の程度、影響を受ける期間などを開示しています。
また、脱炭素社会への移行に伴う不確実性の高い将来を見据え、どのようなビジネス上の課題が顕在しうるかについて、脱炭素化による持続可能な1.5℃の世界と化石燃料依存による高度な経済発展が見込まれる4℃の世界のそれぞれにおいてTCFDが提言するシナリオ分析を行いました。1.5℃の世界と4℃の世界のいずれにおいても、当社のIT関連技術によるDX対応やIoT、AIの新技術領域は、幅広い業種のお客様によるニーズがあり、気候変動に関するビジネス拡大の機会があることが分かりました。とりわけ、1.5℃の世界においては、当社の基盤事業である保守運用サービスが堅調に売上を維持拡大していくことが定量分析結果から得られたことで、当社では、CO2排出量を「2030年ネットゼロ」とする目標の達成が非常に重要な意味を持つということを、改めて確認することができました。したがって、気候関連問題および脱炭素社会への移行は当社の発展に大きくつながりのあるものであるとの認識を強めました。
リスク管理
当社のリスク管理について定めた「リスク管理規程」においては、気候関連リスクをサステナビリティリスクと区分し、事業に関わるリスクの一つとしてリスクマネジメント委員会で統括管理しています。
気候関連リスク・機会に関しては、サステナビリティ委員会において特定し、「発生可能性」と顕在化した場合の「量的影響度」「質的影響度」の3つの尺度で評価するとともに、当社グループの戦略に大きな影響を及ぼす気候関連リスク・機会については、定期的にモニタリングを行っています。
分類 | リスク・機会の内容 | 指標 | 財務影響 の程度 |
影響を 受ける期間 |
該当 シナリオ |
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リスク | 移行 | 新たな 規制 |
炭素税が導入され、協力会社の業務委託費に転嫁されることによる調達コストの増加 | コスト増加 | 大 | 中期 | 1.5℃ |
自社で使用する電力に伴う炭素税の増加 | コスト増加 | 小 | 長期 | 1.5℃ | |||
テナント入居しているビルの再エネ導入遅延によるScope2の削減の困難化、およびそれらに対応するためのオフセットコストの増加 | コスト増加 | 小 | 中・長期 | 1.5℃ | |||
評判 | 脱炭素社会に向けた投資家等からの情報開示要請に対応できないことによる市場価値の低下、およびそれに伴う失注等による売上の減少<定性評価のみ> | 売上減少 | 小 | 中期 | 1.5℃ | ||
省エネルギー対策の遅れが原因でお客様が他の企業へ移行することによる売上の減少<定性評価のみ> | 売上減少 | 小 | 中期 | 1.5℃ | |||
技術 | DXの加速に追随するための人材の確保や育成に関するコストの増加 | コスト増加 | 中 | 長期 | 1.5℃ | ||
物理 | 急性 | 激甚災害が増加し、事業活動の停止を余儀なくされることによる売上の減少 | 売上減少 | 小 | 短期 | 1.5℃/4℃ | |
慢性 | 平均気温の上昇に伴う空調等の運用コストの増加 | コスト増加 | 小 | 長期 | 4℃ | ||
機会 | 製品および サービス |
IoTおよびAIの活用により、製造現場等におけるデジタル化、生産性の向上による低炭素化を促進するビジネスの拡大 | 売上増加 | 小 | 中期 | 1.5℃/4℃ | |
CASEの進展に伴い、既に提供している車載開発のニーズの高まりに伴うビジネスの拡大 | 売上増加 | 小 | 中期 | 1.5℃/4℃ | |||
暮らし全般における環境向上の機能として、環境問題・省エネに関連する住生活ソリューション事業の拡大 | 売上増加 | 小 | 中期 | 1.5℃/4℃ | |||
顧客の業務のデジタル化(ペーパーレス化)の加速に伴う自社サービスの需要の拡大 | 売上増加 | 小 | 中期 | 1.5℃/4℃ | |||
増加する激甚災害への対策として高まるクラウド化の加速に対応するインフラ、運用関連サービスにおけるビジネスの拡大 | 売上増加 | 小 | 中期 | 1.5℃/4℃ | |||
顧客の労働時間の短縮に伴う省エネルギー化につながるサービスの需要の拡大 | 売上増加 | 中 | 中・長期 | 1.5℃/4℃ | |||
気温の上昇に伴う健康への関心の高まりによるヘルスケア、医療関連サービスの領域におけるビジネスの拡大 | 売上増加 | 小 | 中・長期 | 4℃ | |||
市場 | ネットゼロの達成による、顧客から選択される機会の増加、およびそれに伴う従来の保守運用サービスに関わる売上の増加 | 売上増加 | 大 | 中・長期 | 1.5℃ |
※ 財務影響の程度 大: 20 億円以上、中: 5億円以上 20 億円未満、小: 5億円未満または定性評価
指標と目標
当社グループは、世界全体の気温上昇1.5℃未満目標達成のため、長期的な温室効果ガス排出量の削減目標を設定しています。2024年3月期にはScope1, 2, 3の排出量削減目標について国際的イニシアチブであるSBT(Science Based Targets)認定を取得しています。
当社グループは、長期展望「Vision2030」を基に、Scope1,2における「2030年CO2 排出量NETゼロ」を掲げ、Scope3についても野心的な目標を設定し、カーボンニュートラルの実現を目指していきます。
温室効果ガス削減目標
(Scope1・2・3)
項目 | 目標年 | CO2排出量削減率目標 |
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Scope1,2 | 2030年度 | NETゼロ |
2050年度 | NETゼロ(維持) | |
Scope3 | 2030年度 | 50%削減 (2021年度比) |
2050年度 | NETゼロ |
外部からの評価
CDPは、企業や自治体を対象に環境への取組みを評価し情報開示を行う国際的な非営利団体であり、その開示情報を基に企業などを世界共通の尺度で評価しています。
評価基準は、リーダーシップレベル(A、A -)、マネジメントレベル(B、B -)、認識レベル(C、C -)、情報開示レベル(D、D -)の8段階となっており、DTSグループは、2023年の気候変動レポートにおいて、リーダーシップレベルに位置する「A-」の評価を獲得しています。